image

今年から新書をたくさん読もうと思って、とりあえず僕が頻繁に足を運ぶ書店で人気がある「里山資本主義」を読んだ。

最初は一部の成功した人またはプロジェクトを紹介するちゃちな内容かと思ったら、しっかりと「マネー資本主義」に対するアンチテーゼとして「里山資本主義」すなわち、

お金の循環がすべてを決するという前提で構築された「マネー資本主義」の経済システムの横に、こっそりとお金に依存しないサブシステムを再構築しておこうという考え方だ。

という事を真剣に書いた本。具体的には木材加工の際に発生する木屑などの副残物を発電材料にしたり、地方の腐らせているような野菜をちゃんと使おうという内容は面白かった。「すぐそばにあるモノでまかなえるのに、わざわざ金に換えてから金で手に入れる考えが浸透している現代はちょっとおかしい」という言葉は確かに正しいと思う。

でも最近は少しでも外で火を使うと通報される

ただ随所で見られる「田舎こそ至高」という押し売りが若干目立つのが残念。僕も田舎暮らしの方が好きだし、とても都会というには程遠い場所に住んでいるが、最近だと外で少しでも煙を出そうものならすぐに通報されてしまう。本書で紹介されている薪とエコストーブ(ペール缶とホームセンターで買える煙突パーツを用いて個人で作れる簡易コンロ)で毎朝お米を炊くのは自分でも実践できそうか?と思ったが、現実問題難しい。いや、この難しいのがそもそもおかしいって僕も思う。でも実際本書で紹介されている事は実現し難い事ばかりだ。そういえば、今は小学校などの焼却炉もなくなってしまったと聞く。

あと、読んでいる最中に「これ本当に?」と思ったので読後に調べてみたのだが、オーストリアのペレットボイラーやバイオマス発電事業はどれも成功しているエネルギーのユートピアではないようだ。少し調べただけで、失敗例がいくつも見つかる。そういう事実を無視して話を進めるのはフェアではないかなと思った。オーストリアが挑戦した事はすごいと思うけど。

エネルギーの問題は原子力や化石燃料の時代はそろそろ終わるべきだと思っているので、開発する事はとても大事だと思う。マネー資本主義関係なく、自国で生み出せるエネルギーが欲しい。エネルギーに関する事はもっと勉強したいな。

後半の「本当にやばいのは少子化だよね」という問題と解決方法をもっと掘り下げて書いて欲しかった

303頁中の288頁から始まっている藻谷浩介さんのいう「本当にやばいのは少子化」という内容がとても薄くて残念。僕もその考えには同意できるのだけど、

未来を信じられない事が原因で子孫を残す事をためらうという、一種の「自傷行為」なのではないかと。 (中略) 少子化は日本だけで起きているのではない。マネー資本主義が徹底されているという意味では日本以上である韓国も台湾もシンガポールも、前述の通り日本より出生率が低い。同じく凄まじいマネーの暴風が吹き荒れている中国でも沿岸部の出生率はもう東京よりも低くなっている可能性がある。 (中略) ロシアや東欧でも突如マネー資本主義暴風にさらされたソ連崩壊以降、著しい出生率の低下が報告されている。 であるとすればこそ解決は、マネー資本主義とは違う別の次元のところに存在する、里山資本主義の普及と活用にあるはずだ。

と、なんか後半でいきなりざっくりとした話になり、その後の説明も深い話もない。すぐに都会での物質的な充足は今や田舎でもあるよという話になってるし。いや、難しい問題だから少ない頁じゃ書けないのは分かるけど。このあたりをもっと深く書いて欲しかったなぁ。このあたりもまた勉強したい。

里山資本主義  日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)
藻谷 浩介 NHK広島取材班
角川書店
売り上げランキング: 58